創業ストーリー

4. 直感

バイオベンチャーでの仕事を通じて、事業・経営を経験する日々は、とても充実していました。一方、充実すればするほど、起業への想いも益々高まっていきました。

そのような中、一つの転機が訪れました。私は、バイオの業界に関わる中で、再生医療をはじめとする細胞治療が今後発展していく分野になると考え、社内で関連する新規事業の提案をしていました。そして、ある時、そのビジネスモデルについて東京大学医科学研究所附属病院の病院長に提案する機会を得ることができ、プレゼンをしたところ、その事業化を検討する前提で、東京大学医科学研究所(医科研)の客員研究員にならないかというオファーを受けたのです。私は、上司に相談して同研究所の研究員になることについて了解を得ることができました。
医科研では、臍帯血移植や臍帯血を用いた再生医療をはじめとする最新の治療についての研究を行いながら、自身が提案した事業の実現に向けて検討を行っていました。その過程で、現在のテラの事業の根幹となっている、樹状細胞ワクチン療法と出会ったのです。

樹状細胞ワクチン療法は、治療に樹状細胞と呼ばれる免疫細胞を用いることから、このように呼ばれています。この療法は、樹状細胞にがん抗原(がんの特徴)を認識させ、その樹状細胞を患者の体内に戻してリンパ球にがん抗原を覚え込ませることにより、リンパ球にがん細胞のみを狙って攻撃させるというがんの治療方法です。
この療法は、がん細胞のみを狙って攻撃でき、正常細胞を傷つけないことから、副作用がほとんどない治療です。また、リンパ球が体内で長期間がん抗原を認識し続けるようになるため、持続的にがんを制御することが可能です。(これが樹状細胞「ワクチン」療法と呼ばれる理由です。)

医科研では、悪性黒色腫、甲状腺がんの末期がんの患者を対象として同療法の臨床研究を行いましたが、そこでは約30%の臨床的有益性(腫瘍の消滅、縮小、進行停止が見られること)が得られました。
外科医として多くのがんと関わった経験から、私はこの時、この技術は事業化できると直感しました。

その後、この臨床研究の結果が噂となり、患者からの問い合わせが続いたのですが、臨床研究期間を終えてしまった後は治療を提供することができませんでした。
臨床研究の成績や患者からの問い合わせの多さが、この技術を事業化することによる社会貢献の大きさを確信させました。
「求められているのに、提供できない」。この状況を変えたいと思った私は、研究開発に関わった教授等に、この技術を持って起業したいという思いをぶつけ、なんとか了承を得ることができました。

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