第49回 抗がん剤の治験に参加して

お知らせ

当コラム「患者だより」は、第50回をもって定期掲載を終了いたします。
今後は、不定期に更新を予定しております。

第48回で紹介した治験(ちけん)への参加が決まり、2018年3月15日から投薬を開始しました。今までに受けた抗がん剤治療は点滴薬が主でしたが、今回の治験の対象薬は内服薬です。

小さな錠剤3粒を14日間毎朝服用し、その後1週間、服薬を休みます。この流れを1サイクルとして繰り返し、約6カ月間服薬を続けます。

服薬を開始する前日に入院し、体調管理をしながら薬を飲み始めました。初日は薬を飲む前と後に計8回の血液検査がありました。2日目も、血液検査をしてから服薬しました。2日目のお昼前に退院して、3日目からは自宅で薬を飲みました。

はじめの1週間は、体調はさほど変わりませんでした。ちょうど1週間目に季節はずれの降雪と寒の戻りがあり、体調を崩してしまいました。その後は、急に体調が悪化したように感じましたが、ひとまず2週間薬を飲みきりました。14日目からは、再び3日間入院しました。1サイクル目の終了時の検査が15日目(すなわち、服薬を休んだ最初の日)にあり、起床時の尿をすべて溜めて検査に出したり、通常より多めに採血したりしました。

治療薬として確立している薬では、薬の添付文書に起こりうる副作用が列挙されています。治験薬の場合は、説明文書に起こりうる副作用が書かれています。この薬の場合は、「高リン血症」と「倦怠感(だるさ)」がともに40%を超える高い頻度で起こるそうで、私もそれらを経験しました。

実際に治験に参加してみて、気をつけなくてはいけないポイントに気がつきました。治験では、治験に参加する以前に投与していた抗がん剤の影響がなくなってから、治験薬の投薬が開始されます。私の場合は、使用していたハラヴェン®という薬をやめて、4週間待ってから、治験に参加しました。

やめてみてはっきりしたのですが、どうやら、ハラヴェン®のおかげで胸水が抑えられていたようです。ハラヴェン®を投与していた1月末に撮影した胸のレントゲン写真と比べると、3月終わりのレントゲン写真では胸水が増えていました。治験薬の効果が現れるのが遅い場合は、今後、胸水を抜く処置が必要になってしまいます。このように、前の薬のおかげで体調を保てていた患者は、治験薬投与後の経過を慎重に観察しなくてはいけないと思いました。

治験にまつわる患者の負担はどうでしょうか?

まず、時間的な負担は、普段の診療のときよりも増えました。たくさんの検査を受けなくてはならないので、通院回数が増えるのです。朝早くから病院を受診しても、検査、診察、検査と繰り返していると、予定のスケジュールが終了する頃には夕方近く、ということもあります。さらに、通院に時間がかかる患者の場合は、相当な体力が必要です。

金銭的な面ではたいへん助かります。治験に参加する意思表示をした後は、検査や薬剤の費用は治験実施者(今回は、開発した製薬会社)の負担となります(*)。また、この治験では、入院と通院を選べて、入院費用も製薬会社が負担します。私は、1日に何件もの検査がある場合や、数日続けて通院を求められる場合には、入院を希望しています。外来で呼ばれるまで何時間も待つよりは、体力が温存できるからです。

治験に参加すると、謝礼が相当額受け取れるのではないか、と思う方もいるかもしれません。残念ながら(?)、昨今は「負担軽減費」という名前で、交通費程度の金銭が補償されることが多いようです。1回の通院に数千円の負担軽減費が支払われるというのが一般的だそうです。

*治験によって、治験実施者が負担する費用の範囲は異なります。検査費用や入院費用の一部を被験者(患者)が負担する治験もあります。

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