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第41回 遺伝子検査を使った最先端のがん治療~リキッドバイオプシー、ゲノム解析、プレシジョンメディシン

「遺伝子検査」という言葉を耳にしたことのある方が増えたのではないでしょうか?「遺伝子検査が自宅で簡単にできます」というチラシが新聞にはさんであったり、インターネットで「がん 治療 健康診断 検査」といったキーワードを入れると遺伝子検査の会社のバナー広告が出てきたりします。

がんと縁のある人が一般的に受ける検査としては、血液検査のほか、レントゲンやCTといった画像検査、細胞や組織を使った病理検査などがありますが、遺伝子検査も次第に身近になってきました。

遺伝子検査には大きく分けて2種類あり、私はその両方を経験したことがあります。ひとつは、遺伝子全般の検査を行って、自分のかかりやすい病気を事前に把握して今後に生かすものです。2万数千あるといわれるヒトの遺伝子の中から遺伝子変異を拾う、ということのようですが、解析結果を受け取った私はそれを活用するにいたりませんでした。

もうひとつは、がん患者向けのがんゲノム解析です。ガイドラインどおりの治療が無効になった場合や、同時多発的にがんが見つかり原発のがんが特定しづらい場合、希少がんの場合などに、がんに関連する遺伝子の変異を調べます。この検査を実施している病院はまだ少ないですが、国立がん研究センター中央病院やいくつかの大学病院に広がり始めています。実施している病院によって検査の対象となる患者は違ってきます。

私は、かかりつけの大学病院で後者の検査をすすめられました。現在行っている治療が効果を発揮しなくなってきたので、次の治療薬を探すために遺伝子検査を受けることにしました。がん細胞に生じた遺伝子変異を検査で特定し、その変異に対応した治療薬が提案されるということでした。

この検査のメリットは、自分のがんにぴったり合った治療薬が見つかるかもしれない点です。一方、デメリットは、まずがん患者全員が受けられる検査になっていないことです。また、たとえ検査を受けることができても、現時点では検査に公的保険が適用されず、検査費用は10割すべてが患者負担となります。一昔前は、ゲノム解析を依頼すると100万円以上の費用がかかっていたのですが、今では半額もしません。それでも、普段支払っている医療費と比較すると、非常に高額な検査です。

2017年9月18日付けの日本経済新聞に、がんゲノム解析に関する北海道大学での研究結果が掲載されていました。2010年4月から2017年5月末までに遺伝子検査を受けたがん患者は159人。そのうち、がんの原因となる遺伝子が判明した患者の割合は約95%、治療薬についてなんらかの情報が得られた患者は約70%、実際にその治療薬で治療した患者は約10%だそうです。

治療薬がみつかっても治療に進む患者が少ない最大の理由は、その薬が現在の日本では保険適用されておらず、使おうとすると手続きに膨大な時間がかかったり、全額自己負担で高額だったり、ということのようです。

私はリキッドバイオプシーという解析を依頼しました。今回は血液を検体としましたが、がん細胞が入手できる状態であれば、それを検体として分析する方法もあるそうです。検体提出から2週間で結果が返ってきて、がん遺伝子の変異が2つ見つかりました。そして、それに対応する治療薬の情報も得ることができました。

この先、治療を受けられるのかはまだはっきりしません。しかし、こうした医療技術の発展のおかげで、自分では把握できないがんの状況を知ることができ、治療の可能性を見いだせたので、あきらめずに治療にたどり着けるまでがんばって生きたいと思っています。

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