第35回 がん患者への励ましの言葉

連載の第6回では、「お見舞いの言葉」というタイトルで、がん患者にお見舞いの言葉をかけるときのヒントを書きました。今日は、がん患者さんの闘病を応援する際にどのようにメッセージを送ればよいかのヒントをお話しします。参考になれば幸いです。

私自身もがん患者でありながら、闘病しているがん患者の知人、友人にかける言葉を選ぶときには非常に慎重になります。なぜならば、患者さんそれぞれ、性格も違えば病気と付き合っている期間や向き合い方も異なるからです。

私のように、闘病歴が10年を超え、自分がどう闘病するか腹をくくって生きている人ばかりではないと自分に言い聞かせる場面があります。

何年も悠長に闘病できるような性質ではないがんもあります。
臆病、心配性で、病気に関する不安がすべて払拭されない限り眠れないという性格の患者さんもいます。
医師や看護師と接点を持つことが嫌いで、治療行為そのものに大きなストレスを感じている人もいます。
自分は高齢で充分長生きさせてもらったから悔いはないと言って、治療を拒む方もいます。

こうしたがん患者さんに、「私もがんですが、一緒に治療を頑張りましょうね」とか、「ご自分を大事になさってくださいね」とか、「そんなに不安ばかり感じていないで主治医を信じてはどうですか」とか、そんなとおり一辺の言葉をかけても、相手を思いやる気持ちが真っ直ぐに届くものではありません。

私は自分が納得いくまで複数の専門家の話を聞き、自分で治療方針を決めたいタイプです。ですので、医療者が詳しく積極的に情報提供してくれないと不満ですし、その医療者を信頼できません。

一方、誰かに行動を指示されることを快く思いません。がんの転移や悪化が見つかったとき、家族や友人が「無理しているんじゃない?仕事なんてできるの?」と言ってきました。私の体調は、私自身がいちばんよく分かっています。心配してくれるのはありがたいのですが、突然倒れて迷惑をかけるでもなし、私は自分でやりたいことを決め、実行したいのです。

あなたの知るがん患者のイメージを押しつけないで欲しい。

私以外の患者さんも、きっとそう感じることがあるだろう、と想像できるからこそ、安易な応援エールは送らないようにしています。患者さん個々の性格や治療に臨む姿勢を理解したうえで言葉をかけないと失礼になり、場合によっては患者さんのあきらめ感を増幅してしまうおそれもあると思うのです。

では、闘病を応援する言葉に王道はないのでしょうか。いいえ、これだけは伝えて欲しいことがあります。

がんであろうとなかろうと、自分にとってあなたはかけがえのない人で、今まで一緒に過ごせたことを感謝している。まだまだ一緒に過ごしたい、話したいことがあるから、あきらめないで、必要な治療を受け入れて、今の難しい状況を乗り越えて、毎日を大切に過ごして欲しい。

あなたと語り合う時間を、一緒に過ごす時間を私にください、と真っ直ぐに伝えることが、闘病するがん患者さんの心をもっとも強くする言葉ではないかと思います。

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