第34回 がん検診、受けないのも受けすぎも困りもの

みなさんは、定期的にがん検診を受けていますか?

国が定める「がん対策推進基本計画」の目標の1つに、「がん検診の受診率50%」が掲げられています。しかし、これを達成できていないがん検診がほとんどです(*1)。特に、女性の受診率の低さが目をひきます。国が推奨するがん検診(*2、*3)は、

  • 胃がん(胃レントゲン検査、胃内視鏡検査)
  • 大腸がん(便潜血検査)
  • 肺がん(胸部レントゲン検査)
  • 乳がん(マンモグラフィ)
  • 子宮頸がん(細胞診)

ですが、胃がん、大腸がん、肺がんに関しては男性の受診率よりも女性の受診率が低いです。2016年の乳がん、子宮がんの検診率も5割に届きません。

*1 国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス「男女別がん検診受診率の推移」
http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/screening_p01.html
*2 国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス「がん検診」
http://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/index.html
*3 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター検診研究部「科学的根拠に基づくがん検診推進のページ」
http://canscreen.ncc.go.jp/index.html

乳がん検診にまつわる興味深い話があります。日本はアメリカについで世界で二番目に多くマンモグラフィ装置(乳房専用のレントゲン撮影装置)を保有している国です。ところが、日本は乳がん検査の受診率の低さで世界的に有名です。

先日、がん検診の医療器材を販売している会社の方とお話しする機会があり、なぜ日本では女性のがん検診率が低いのでしょうと尋ねてみました。すると、日本の女性は妻、母、嫁の役割を第一優先にして自身の身体のケアに時間を割くことを後回しにする傾向があるのが理由のひとつではないか、との答えが返ってきました。そうかもしれません。

しかし、私は思うのです。奥さん、お母さん、お嫁さんの役割を果たす女性が病気で倒れたときに、途方にくれるのはその恩恵を受けている家族ではないでしょうか。家庭、家族の生活と心の支えとなっている人こそ、家族のために、定期的にがん検診を受けて欲しいものです(女性に限らず、男性も)。

一方、初期のがんで発見され治療を受け治癒した方が、腫瘍マーカーの値が少し上がったという理由でごく短期間のあいだに血液検査や画像診断を受けたいと食い下がり、医師を困らせる事例もあります。気持ちはよく分かります。一度がんになると、検査結果がわずかでも基準範囲から外れただけで、自分は再発しているに違いない、と怖くなるのです。

明らかな自覚症状がある場合、例えば、触れて分かるくらいのしこりがある、最近急に食欲がなくなって体重が落ちた、度々めまいがする、といった症状を伴う場合は、医療機関に相談にいき、検査を受けることも必要でしょう。しかし、そうした症状が一切なく、腫瘍マーカーの数値だけが気になって検査を頻繁に受けるというのは、考えものです。

私自身は、毎回の腫瘍マーカーのデータはそこまで精緻ではなく、数カ月ごとに傾向をつかむ程度でよいと考えています。血液検査や放射線を使った画像検査(CT検査、PET検査など)は身体に負担を強いるので、医師の判断に任せて受けています。

がんに関する新たな発見は日々続いています。新たな治療法が見つかるだけでなく、検診にも新たな検査法が加わります。がんに対する常識も数年で変わる場合があります。私が初めてがんになった頃は、治癒から5年経てばがんは再発しないと聞きました。最近では、乳がんや肝臓がんは治癒して5年どころか15年ほどして再発する例もあり、5年が過ぎても油断しないようにと言われています。

がん経験者も未経験者も、がんに対する情報をアップデートしながら年に一度は検査を受け、それを忘れず毎年続けることが大切だと思います。

※このウェブサイトの情報は著作権法により保護されており、複製、改変、転載等の行為を禁止します。

バックナンバー

著者プロフィール

テラのFacebookを見る

テラのFacebookを見る

ページトップへ