第31回 がん免疫治療の効果をあげる食生活

今回は効果的な治療を行うための身体つくり、その中でも「食べる」ことについて考えたいと思います。なお、「がん」といってもさまざまで、私のように治療薬の副作用で食欲が増している患者もいれば、食べること自体ができない患者もいます。ここでは、口から食べ物や飲み物を摂れる患者を想定して書いていきます。

私はこれまでの治療で、がん細胞だけを消滅させることを叶えられていません。その反面、治療で致命的なダメージも受けていないので、健康な部分とがんの両者が身体の中で共存しているのだと考えています。

健康な部分の身体を維持できている理由ははっきりしません。しかし、がんにかかってからのこの12年を振り返ってみると、少々無理があっても身体を動かすことと食べることを続け、未来の自分の姿をイメージする前向きな意思を持つことで、健康な身体を維持できているように思います。

健康であるほうの自分の身体を丈夫に保たない限り、がんと決別するための治療を効果的に行うことはできません。食べることで治療が効果をあげる、という意識を普段からもつ必要があると思います。かかりつけの標準治療の担当医も免疫療法の担当医も口をそろえて、「食べることで治療を効果的に全身に届けることができる」と言います。

免疫療法のクリニックの担当医と看護師が、『患者が栄養摂取に前向きになれば、免役療法の効果がもっと高まるのに』と話していました。食事が効果的に摂れていないことで免疫力が十分に引き出せず、せっかく樹状細胞ワクチンを打っても効果があがらない患者が少なからずいるのだそうです。

本来は、野菜、卵・肉・魚、果物、といった素材を活かした料理を通じてバランスよく栄養素を採り入れることが望ましいと言われます。しかし、必要な栄養素を網羅した食事が摂れているかを毎日考えられる患者や家族ばかりではありません。サプリメントで補っている人でも、一日に必要なすべての栄養素を理解して摂取できているとは限りません。治療後で食欲が出ない、気力体力が落ちて食事にまで気が回らない、ということもあるでしょう。がんの状態によっては、口やのどを動かしづらく食べることが満足に行えない患者もいると思います。

そういった時には、食べやすさ、栄養バランスの良さを考慮した栄養ケア食品を採り入れることもひとつの策です。私も、手術後の食欲が落ちたときに、市販の栄養ケア食品を採りいれました。例えば、こういったものです。
https://www.ajinomoto.co.jp/nutricare/public/

介護食、流動食の分野で活躍しているこうした栄養ケア食品は、高カロリー、高栄養素で、手軽に必要な熱量と栄養素を摂れるようになっています。ゼリー状やシェーク状など粘性のある形状で、飲みこみやすく作られています。また、比較的多くの人に人気がある味(フレーバー)をそろえており、飽きずに続けられる工夫もされています。

口やのどを動かしづらい場合は、特別食で食事を摂るほうが楽な場合もあります。がん患者に限らず、噛んだり飲みこんだりが難しい人のために医療食品企業が開発した「ムース食」という食品を、メニューに取り入れて提供しているレストラン(アンテナショップ)があるそうです。食事に困難をおぼえる人が少しでも前進できるような、画期的な商品やサポートが増えていると感じます。
http://www.nifs.co.jp/
※上記ホームページの左端にあるnu dish Mousse Deli & Café(ニューディッシュ ムース デリ&カフェ)のボタンをクリックすると、レストランのホームページに移動します。

ちまたには、「がんにならない食事」のような、まだがんになっていない人向けの「食べる」情報は沢山あります。しかし、がんになってからどのような食事をすると良いのかを具体的に発信している情報を探すことは、案外難しいものです。こうした情報を今後も積極的に探索したいと思います。

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