第23回 最新がん情報の収集のすすめ

「がん対策基本法」が施行されて4月で10年になります。全国どこでも標準的ながん治療が受けられるように法整備されてから、まだ10年しか経っていません。この10年の間にも、病気と治療に関わる多くの情報が新たに加わり、今の最新の「がん情報」となっています。

過去にがん治療に取り組み、現在は体調が落ち着いて普通に過ごしている方。再発・転移の可能性が高く、不安な毎日を送っている方。これから初めてがんと闘病しようという方。さまざまな方が、このお手紙を読んでくださっていると思いますが、がんの最新情報を定期的にチェックする必要性は、どのような状況であろうと共通するものだと思います。

医療技術のなかでも、がんに関わる研究や薬の開発は活発で、10年ひと昔どころではなく、2、3年で病気そのものの理解のされかたや治療内容が変わることも珍しくありません。現在はがん情報を知らなくても問題ないと思っている方も、ぜひ定期的に最新情報に触れてみてください。がんに罹患したとき、再発・転移したことが分かったとき、冷静に、前向きに即治療に取り組める人は少ない印象があります。いざというときに知識があれば、憂いは減るものです。

網羅的に幅広い情報が得られるのは、国立がん研究センターのがん情報サービスでしょう。がん登録・統計のデータページを検索し、がんに関する一般的な情報と接することができますし、それぞれのがんの解説ページで基礎知識から治療方法まで理解することができます。
http://ganjoho.jp/public/index.html

公益財団法人日本対がん協会のホームページも、セミナーや啓蒙イベントの案内が豊富で様々な情報を収集できます。
http://www.jcancer.jp/

また、最新のがん治療情報や研究発表などに気軽に触れられるものには、日本経済新聞グループの発行している日経メディカルがあります。雑誌は図書館で読める場合がありますし、WEBサイトも充実しています。ただし、医療従事者向けの専門雑誌ですので、難解な資料や、医療従事者以外がアクセスできない情報もあります。
http://medical.nikkeibp.co.jp/

免疫の力を活用したがん治療を考えたい方には、この患者だよりが掲載されているテラのがん免疫療法情報ガイドも頼れる存在です。
http://www.gan-info.jp/

私がはじめてがんの手術、治療に取り組んだのは12年前ですので、最近になって同じがんに罹った患者さんに経験談を話しても、あまり役に立たない場合があります。急にアドバイスを求められて最新の情報を提供できず悔やまれたことがありますので、それ以来、少なくとも自分のがん種に関しては最新の動向をチェックするようになりました。

また、それを機に、過去に受けた検査の情報、治療薬と薬価の情報、入院と手術の情報など、自分のすべてのがん情報を振り返り、一覧にしてみました。そうしてみて気が付いたのは、過去に使用した抗がん剤は、後発薬が販売されたり薬価が改定されたりして、値段が下がっているということです。最新のがん治療薬が高額で医療費の増大に結びついていると話題になっていますが、十年以上前からある抗がん剤が薬価を下げながら今でも有益な治療薬としてがん患者の治療に貢献していると知ると、古くからの仲間の活躍を見るような気持ちになるのは不思議です。

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