第21回 似たような患者の存在を知ると心強くなります

がん患者は増加の一途ですが、自分とまったく同じ病状、治療内容、生活状態の患者さんに出会うことはなかなかありません。標準的な治療法や手術件数が多い病院などはインターネット検索で探せますが、標準治療を受けた患者さんの体感や生活実態についてはごくわずかな情報しか見つからず、自分と比較するのは難しいと感じます。

また、同じがん種の同じステージの患者どうしであっても、年齢、体力、がん以外の持病など、さまざまな要因によって治療方針は変わります。手術、抗がん剤治療、ホルモン療法、放射線療法といったそれぞれの治療が、辛いものになるのか、身体に負担なく乗り越えられるのかにも、個人差があります。抗がん剤の添付文書を見てみると、有効性に関する成績や起こりうる副作用の頻度が記載されていますが、100人のうち何人にそのような状況が発生した、と記載があっても自分が該当するか否かはわからないのです。一度治療を受けてみないと自分にとってどのような治療なのかはわかりません。

さらに、がんにかかってからの期間が長くなり、再発・転移のつど治療を変更していくと、自分と同じ病気と治療の経緯をたどっている患者さんに出会うことはますます難しくなると感じます。治療よりも優先したい時間の使い方、ライフスタイルがある場合には、なおさらです。

自分と似たような考えを持つ人が新たな治療を取り入れた場合に、どうやって治療を受け、どのように生活を送っているのか。それを知りたいならば、その治療を実施している医療機関の医師や看護師に聞きに行くのが近道です。こうした情報はインターネットで検索してもなかなか出会えません。クリニックに電話したり面談に足を運んだりして、初めて得られる生きた情報です。

がん免疫療法を検討する患者さんは、「副作用が少ない治療か」、「標準治療が尽きてしまったが治療ができるか」という観点で問い合わせなさる方が多いと聞きました。そうした患者さんは、ご自身と似たような病状や価値観で免疫療法を取り入れた患者さんが療養生活を続けていることを知り、また、それを見守っている医療従事者に信頼がおけたときに、納得してがん免疫療法を始められるようです。

自分と同じような病状で、治療に対するスタンス(または残された選択肢)の似ている患者さんが前向きに治療に取り組んでおり、そんな患者さんを見守る専門家がいることほど、安心できるものはないでしょう。

私も、3年前からがん免疫療法を取り入れています。私が通うクリニックは、関連医療機関も含めるとかなりの数の症例経験をもつので、自分の症状と比較できる事例をみつけやすいと感じています。また、がんの種類や進行度が違っても、がん細胞に対する人のからだの免役反応には共通のところがあります。免疫療法を行うクリニックの医師や看護師にさまざまな患者さんの治療スタイルや生活事例を教えていただくことで、治療に希望を見出して頑張っていけます。

自分に似た(見ず知らずの)患者なかまが、日々治療を受け、生活を送っているということを思い出すと、気持ちが少し強くなります。自分らしい生活をかなえるために、治療ができる可能性をあきらめないでいただきたいと思います。

※病状や体調によっては、がん免疫治療を受けられない場合もあります。また、小児や高齢者では、血液がんも治療の対象にならない場合もあります。詳しくは医療機関にお問い合わせください。

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