第20回 NK細胞療法と活性化リンパ球療法

がん免疫療法のうち、自分の細胞を利用する治療法には、体全体の免疫力を底上げする「非特異的」免疫療法と、正常細胞に影響なくがん細胞を狙って攻撃する「特異的」免疫療法があります。患者だよりでは、「特異的」がん免疫療法である樹状細胞ワクチン療法について、第11回第12回で取り上げています。

一方、私は「非特異的」がん免疫療法も体験しています。今回は、非特異的な治療と体感について、お伝えしたいと思います。

免疫療法は主として、本来体が持っている免疫力を活かしてがんと闘います。免疫療法は、他の治療ほど即効性はないものの、効果が長い間持続する場合があることを特徴とします。これが免疫療法の最大の利点です。免疫療法は、自分自身の持つ免疫力を使った治療なので、体力があり免疫の働きも衰えていない病気の早い段階で使うと、より高い効果をあげるとも言われています。

しかし、病気そのものの影響やがん治療の結果、免疫力が落ちてしまっていたら?そんな時に活用できる治療が、免疫力を高めることを目的とした非特異的がん免疫療法だと、自分の中で整理しています。

私が通うクリニックでは、非特異的がん免疫療法として、NK細胞療法と活性化リンパ球療法を受けられます。どちらの治療法も、患者から採血し、必要となる細胞を体外で増殖・活性化させるプロセスを経て、増やした細胞を患者の身体に点滴で戻します。採血は治療のたびに行い、1回の採血量は25ml程度です。

こうした治療は何のために実施するのでしょうか。私の場合は、細胞障害性のある抗がん剤治療を実施していた時期に、どんどん落ちてゆく白血球数(リンパ球数)を底上げすることが第一の目的でした。

抗がん剤の副作用でリンパ球が減ると、自らの身体ががん細胞を攻撃できなくなります。また、白血球が減りすぎると抗がん剤も投与できなくなるので、それを防ぐための後方支援のような位置づけで、非特異的がん免疫療法を受けました。病状が落ち着いているものの再発予防のためにリンパ球を鍛えたいという方や、樹状細胞ワクチン療法に先だってリンパ球を増やしたいという方も、クリニックで治療を受けていらっしゃるようです。

NK細胞療法と活性化リンパ球療法との違いは、増殖・活性化の対象となる免疫細胞の違いです。具体的には、リンパ球のなかのNK細胞に特化しているのか、リンパ球全体なのかの違いとなります。

NK細胞(ナチュラル・キラー細胞)はリンパ球の一種ですが、他のリンパ球とは異なり、自らの判断でがん細胞などの異常な細胞と正常な細胞を区別できるとされています。NK細胞は、がん化した細胞への攻撃に優れている免疫細胞といわれています。健康な人でも、毎日細胞が入れ替わるなかで少数のがん細胞ができています。がん化した細胞を監視し排除するのがNK細胞ですので、がん患者はNK細胞の活性が低いためがん細胞を排除できなかったと考えられます。そこで、患者の体内のNK細胞を増やすために、NK細胞療法が行われます。

活性化リンパ球療法ではリンパ球全体が増殖・活性化の対象となります。体内をめぐる血液に含まれるリンパ球のうち7割はT細胞といわれており、T細胞ががん細胞の攻撃を担います。T細胞にがんの目印を教えるのは樹状細胞で、T細胞は樹状細胞の指示で行動します。活性化リンパ球療法は、樹状細胞ワクチン療法の前にT細胞を増やす目的で行う患者さんが多いそうです。もちろん、リンパ球の中には前述のNK細胞も含まれますので、活性化リンパ球療法によってNK細胞も増殖・活性化されますが、含まれるNK細胞は少ないです。

これらの治療には、メリットとデメリットがあると感じます。メリットは手軽さです。1投与ごとに採血と培養を行うので、樹状細胞ワクチン療法のように数時間かけての成分採血が不要で、治療への心構えが軽くて済みます。また、支払いも投与ごとで、どのクリニックでも1治療あたり20~30万円程度の費用です。樹状細胞ワクチン療法のように100万円を越える支払いが発生することは、まずありません。

デメリットは、NK細胞療法や活性化リンパ球療法によるリンパ球の増加は長続きしない印象がある点です。私の場合、隔週で計測するリンパ球数は、抗がん剤を投与して2週間ほどで元に戻ってしまいました。これは、樹状細胞ワクチン療法がメモリーT細胞を育成してがん細胞に対する攻撃力を長く記憶し身体に覚えこませることとは対照的です(個人差がありますが、私はメモリーT細胞が増加しました)。

NK細胞療法や活性化リンパ球療法を受けた患者さんの多くが体感されるように、投与後は身体に活力が戻る気がすると私も感じました。がん治療に取り組む気力がない、そんな心にエネルギーを与えてくれる治療として、時々取り入れるのも悪くないと考えています。

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