第19回 治療をあきらめない朗らかさを持って

抗がん剤投与を一定期間続けると、効果がなくなるタイミングが来ることがあります。私はこの12年間で、繰り返しそれを体験してきました。年に一度のPET-CT検査の結果を伝える医師に、「このところ使ってきた薬剤の効果がなくなったようです、病状の悪化(または再発・転移)がみられます」と何度言われたことでしょう。

感謝すべきなのは、その都度、次に選択できる治療法が存在していたことです。

昨年12月も同様の診断を受け、それまで2年間ほど続けてきた分子標的薬と細胞障害性抗がん剤を中止することになりました。再発・転移・増悪と告げられるときは、大きなショックを受けます。患者のかた、患者経験のあるかた、ご家族、みなさんそうだと思います。がんだと告知されたときのショックと変わらない、またはさらに大きなショックを受け、自分には生きる資格がないのだろうか、と思い詰めてしまうかたもいらっしゃいます。

私は自分に言い聞かせていることがあります。それは、どんな状況でも最後まであきらめないこと。医療業界で仕事をした経験が長いのでそう感じるのかもしれませんが、医学の発展により生み出された結果を享受し、その治療法の限界を証明できるのは、患者だけです。だから、患者の自分が治療を受ける前にあきらめてしまうのは申し訳なく思うのです。

治療の終了は悪いことばかりではありません。つらいと思ってきた治療を心置きなく止めて、「こんな点が良くなかった、こんな副作用がつらかった」と堂々と悪口(?)を吐き出せるのです。次の治療はもっと楽に違いない、今度こそ寛解する(病状がこれ以上悪くならない、または完治に近いと判断できる状態になる)かもしれない、と志を高く保つチャンスでもあるのです。

また、せっかくの機会だから、医師から提示された治療法に加えて自由診療や民間療法の領域もしっかり調べて、自分が納得いく治療を受けてみようと視点を変えることもできます。私ががん免疫療法と出会ったのも、そうした気持ちの切り替えを試みた結果でした。「病は気から」と申しますが、「治療も気から」です。もう一度頑張るぞという気持ち、仕切りなおす気持ち、それがあったから、私は12年がんと共存してこられたのかもしれません。

自分のことを最後までみつめて対峙できるのは自分だけです。どんなにつらい闘病であっても、自分と向き合いつづけましょう。自分で自分をあきらめないこと。12年間治療を続けてきた私からの年頭のメッセージです。

次回から、私が受けた各種のがん免疫療法をわかりやすくご紹介したいと考えています。こんな治療も世の中に存在し、その治療開発のために日夜努力している人々がいるのだと知っていただく機会になれば幸いです。今年もこのおたよりでみなさんと会えることを楽しみにしております。

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