第11回 樹状細胞ワクチン療法の体験、相談から治療まで

がん免疫療法を提供するクリニックの多くが無料セミナーを開いて、免疫療法の歴史やしくみ、受診の流れ、実際の患者さんの治療例などを紹介していますので、話を聞いてみることをお勧めします。無料セミナーでは簡単な質問はできますが、治療の可否や適性を個別に医師に相談することはできません。セミナー終了後、または日をあらためて、個別相談の時間を設けているところが大半です。

今回は、私が樹状細胞ワクチン療法を受けているクリニックでの相談から治療の流れをご紹介します。あくまで個人の体験であり、細部は病状や治療の内容、医療機関などによって異なりますので、あらかじめご了承ください。

医療相談:2014年8月18日

無料セミナーを受講してから数日後に、クリニックに電話して医療相談の予約を取りました。

医療相談の時に持参する書類があります。診療情報提供書、最新の画像データ(レントゲン、CT、MRI、PETなど)、血液データ(血算、生化学、凝固、感染症、腫瘍マーカーなど)です。これらは、主治医に用意してもらう必要があります。私は当時の主治医に樹状細胞ワクチン療法を受けることを説明しており、診療情報提供書の準備も快諾してもらえました。

これらの医療情報と患者さんの体調や病状をもとに、クリニックの医師ががん免疫療法を受けられるかを判断します。治療内容も、樹状細胞ワクチンだけでなく、活性化リンパ球(LAK)療法やナチュラルキラー(NK)細胞療法を先に実施してから樹状細胞ワクチン療法を行うことが提案されるケースもあります。

また、がんの手術をこれから行う方やご自身のがん組織をお持ちの方は、樹状細胞ワクチンの作成にご自分のがん細胞が使える場合があります。私は術後9年経過していたため、人工抗原の使用を選択しました。

医療相談の当日に「免疫力測定検査」という血液検査を行い、リンパ球の数や機能がアフェレーシス(成分採血)に適した状態かを確認します。私は血液検査で白血球が非常に少なかったため、アフェレーシス前に白血球数を増やす薬剤(ノイトロジン®)を投与することが説明されました。

アフェレーシス(成分採血):2014年9月10日

来院時の血液検査で、前日投与したノイトロジン®の効果で2,000/ul程度であった白血球が11,000/ulまで増えたことが確認され、無事アフェレーシスに進むことができました。献血をしたことのなかった私には、大量の血液が引圧で抜かれ、必要な成分を除いたものが体に戻る体験は初めてでした。片方の手から血液が引っ張られ、片方の血管から冷えた血液が戻ってくる経験に驚きました。

ノイトロジン®はまれに関節痛や骨痛をもたらすことがあります。もともと腰痛持ちで骨転移もあった私は、腰の痛みに耐えながら寝たきりでアフェレーシスすることになりました。数時間身動きができないアフェレーシスは、腰痛を抱える私にとって辛いものとなりました。また、血液が固まるのを防ぐ薬剤の影響により、口や手足が痺れてきて、次第に話をすることも辛くなりました。痺れを和らげる薬剤を追加投与してもらいながら、目をつぶってアフェレーシス終了をまだかまだかと待ちました。

予定されていた3時間よりも短時間でアフェレーシスは終了したのですが、初めての経験にどっと疲労感を覚えました。会社に戻る予定でしたが、大事をとって自宅に帰りました。クリニックが徒歩圏内だったので、歩いて帰宅しました。

クリニックでの一般的な説明は、「アフェレーシス終了後は、患者さんは少し休憩した後、ご自分の足で自宅や職場にお帰りになります」というもので、実際に多くの患者さんはそうしているようです。

樹状細胞ワクチン投与 第1回:2014年10月7日

アフェレーシスで採取した細胞を培養し、品質試験を経て3週間後に樹状細胞ワクチンが完成します。患者さんの体調により作成されるワクチンの本数に差がでます。1コースの治療に必要なワクチンは5~7本ですが、時には30本近くできる方もいらっしゃるそうです。私の場合は12本作成できました。

ワクチン投与の初回は初日より発熱する可能性があることや、発赤や腫れも大きく出る可能性があることの説明を受けましたが、私の場合は投与した当日の発熱はなく、翌日の夕方から発熱しました。会社から帰宅したときには37.5度を超えており、さらに翌朝には38.4度まで上昇しました。予防接種を思い出していただくとわかりますが、ワクチンの投与は自分の体に免役反応を呼び起こすものです。よって、熱が出たり、注射をしたところが赤く腫れたりすることは、副反応としてごく当たり前です。

しかし、過去5年以上の化学療法の間には副作用に苦労することなく通勤もできていたので、樹状細胞ワクチン療法による発熱で会社を休むことに新鮮な驚きを感じました。

樹状細胞ワクチン療法は細胞傷害性の抗がん剤などにくらべると副作用がない体にやさしい治療法であると言われますが、免疫の反応がよい患者には、発熱によって通勤できない日が発生する可能性もあります。ワクチンを投与してから数日は、無理のない生活ができるスケジュールを組んだうえで治療に臨むほうがよいでしょう。

樹状細胞ワクチン投与 第2回:2014年10月21日、第3回:2014年11月11日、第4回:2014年12月2日

初回ワクチン投与の際に、免疫反応を強化する目的で使用したピシバニール®という薬剤が効き過ぎたために発熱が起きたという判断で、第2回以降はピシバニール®を投与しないことになりました。そのせいか、その後は発熱が長引くことがなくなりました。しかし、3回目のワクチンを投与する前は、海外への出張や大きな会議の準備などが重なって多忙を極めたことから、風邪をひいてしまいました。そこに(自らの希望もあって)ワクチンを投与したので、投与してから3日間は38.5度以上の発熱が続きました。

一般に、樹状細胞ワクチンは2、3週間おきに5~7回を投与します。投与を繰り返すことで、免疫の記憶を定着させて免疫力を強化するのです。私もその間隔で7回分を投与する予定でしたが、11月末に実施したPET-CT検査であやしい影がみつかり、4回目の投与が終了した頃に受けたMRI検査で脳に転移があると判定されました。その後年末まで、手術、入院、ガンマナイフと治療が続き、5回目の投与は年が明けた2015年1月となりました。

7回の投与を終えたら

7回の投与が終了すると、免疫力がどう変化したかを確認するために「免疫力測定検査」を再び行います。私は、飛躍的に免疫力が上がっていることが確認されました。

作成された樹状細胞ワクチンが余ると、残りは冷凍保管されます。私の場合は、7本を投与して5本が保管されました。8回目以降のワクチンは免疫力が下がってきたときに投与するとの治療方針になりました。自分の樹状細胞ワクチンを保管しているという安心感をもちながら、血液検査を定期的に行って自身の免疫状態を観察しています。

※このウェブサイトの情報は著作権法により保護されており、複製、改変、転載等の行為を禁止します。

バックナンバー

著者プロフィール

テラのFacebookを見る

テラのFacebookを見る

ページトップへ