第8回 僕は免疫療法を受けるべきでしょうか?

「目からうろこ」の発見をいただいた、あるがんサバイバーの方との会話をご紹介したいと思います。友人の配偶者であるこの方は、仮にYさんとしますが、がん罹患後に自宅でできる仕事に切り替え、仕事の合間にネットで様々ながん治療法を調べては積極的に取り入れていました。代替医療を含め幅広い治療に前向きに取り組む、感度の高いがん経験者です。私のがん治療歴や、私が免疫療法の技術を提供する企業に転職するという話を聞いて、免疫療法にもすぐ興味を持ったようでした。

Yさんは、大腸がんを経験された際に主治医が指定した抗がん剤を1コース使用しましたが、副作用の辛さもさることながら、自分にどれだけ効果があるのかに疑問を持ち、自らの希望で抗がん剤治療を終了しました。その後は、腫瘍マーカーの値を確認するために定期的に主治医のもとに通いながら、鍼灸、漢方、そして自分で調べ実践している食事療法を主たる治療にしているということでした。

そんな彼の目下の悩みは、一時は下がっていた腫瘍マーカーの値がまた高くなりつつある、ということでした。彼は、私に質問を投げかけてきました。漢方医から違う漢方を試すように言われているが、そもそもこの状態は自分の免疫力が落ちてきた故なのではないかと思うのだが、どうだろうか。免疫療法もいくつか調べてみたが、治療法ごとの違いが理解できないことと治療費の高さを考えると、二の足を踏んでしまう。自分にどれだけ効いているのか分かるものだろうか。

腫瘍マーカー検査に関して、血液診断の業界で勤務していたことのある私は、個人的な意見として次のようにお話ししました。腫瘍マーカーの値は、他の血液検査の結果と異なり、検査機器によって数値の差が発生した場合に標準化する処理がされていないので、検査する医療機関または機械によって差が生じる。医師もそれを理解しているので、中長期で判断するように言うと思う。「マーカー値を気にしすぎないように」という医師も多い。しかし、隠れたがんを見つける上で腫瘍マーカーが役立った事例もあるので、全く意味がないわけではない。

もう一点の質問である、がん患者の免疫状況を判定することに関しては、判定テストが存在しています。どこでも受けることができるわけではありませんが、私が樹状細胞ワクチン療法を受けているクリニックでは健康ライフサイエンス社の免役力測定検査を導入しています。この検査を樹状細胞ワクチン療法などの免疫療法の前と後で行って結果を比較するのですが、こうした検査を受けることで自身が免疫療法を受けるべきか否かを納得することもできます。

Yさんのように、免疫療法に興味は持ったものの、果たして自分の体調でそれを受けるべきなのだろうか、受けると何が変わるのだろうかという疑問をお持ちのがん患者の方には、こうした判定テストがあることを知っていただきたいです。また、相談に訪れるクリニックで、免疫療法を受けることでどう免疫力が変わったのか測定はされますかと確認していただきたいと思います。

免疫療法を提供する医師の多くは、がんの進行または抗がん剤などによって免疫力が低下する前の、ある程度体力があり食事がとれ運動もできるときの方が免役療法は効果が現れやすいとおっしゃいます。ですから、抗がん剤などの治療法がなくなった最後の治療と考えるよりも、今持っている自分の体力や免疫力を増強するチャンスと捉えていただきたいと思います。

漢方や鍼灸の医師たちは、西洋医学と異なる判定方法で患者の身体状況を把握し、適した治療をアドバイスします。脈を触ることでどの臓器に障害が起こっているかを説明する脈診という方法や、舌を出してもらいその色や弾性などで内臓の状態を説明する舌診という方法があります。しかし、統合治療に頼っているYさんのような方でも、やはり世間一般の西洋医学の物差しである「腫瘍マーカー」を切り捨てることはできず、心の拠り所とされているわけです。そのような患者さんに西洋医学式の指標に代わる「免疫力測定」を提示することから、樹状細胞ワクチン療法の意味を説いていくべきだなと感じる最近です。

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