樹状細胞ワクチン療法の可能性を広げた人工抗原「WT1ペプチド」
がん組織がなくても受けられる 人工がん抗原
樹状細胞ワクチン療法では、がん抗原に何を使うかが重要です。がんの目印として患者さん自身のがん組織を使うことがありますが、そもそもこのがん組織を使える方はごく限られてしまうのが現状です。しかしテラの樹状細胞ワクチン療法は、多くの場合、「WT1」をはじめとする人工がん抗原を使うことにより、多くの患者さんに受けていただくことができます。
特許技術「WT1」の独占実施権を保有
WT1とは、ほぼ全てのがんに発現していることが報告されているタンパク質です(図1)。大阪大学大学院の杉山治夫教授によって、WT1の断片(ペプチド)ががん抗原として重要であることが明らかにされてきました。このWT1ペプチドをがん抗原として用いることによって、より多くのがん患者さんにがんワクチン療法「樹状細胞ワクチン療法」を提供できるようになりました。
さらに、2009年には米国立衛生研究所 (NIH)のグループによって、WT1は75種類の代表的ながん抗原・がん関連抗原の中で最も有用性のあるがん抗原と順位づけされました(図2)。
テラは、「WT1ペプチド」の樹状細胞ワクチン療法への独占実施権を保有しており、テラの契約医療機関のみWT1ペプチドを使った樹状細胞ワクチンを受けていただくことができます。
(※テラのWT1ペプチドは、がんに対する免疫反応をより強く起こすために改変している強化型WT1ペプチドを用いています)
その他、新規のがん抗原の研究・開発も進めています。


独自の配列研究で、ほとんどの日本人をカバー
樹状細胞ワクチン療法にWT1ペプチドを使用するには、事前の血液検査でHLA型が適合することが条件となります。WT1のどの部分のペプチドを使うかが重要なことであり、それを厳密に判断しているからです。WT1といっても、ペプチドの配列が異なれば同じ効果が出るとは限りません。
テラでは研究を重ねて、HLA型によって効果が出やすい配列を使い分け、いわば個別化医療ともいえるワクチンを作っています。また、有効なペプチド配列を順次導入して、間もなく、ほとんどの日本人に適用できるところまで来ています。
「誰にでも適用できるWT1」というものとは、この点に大きな違いがあるのです。