樹状細胞療法(樹状細胞ワクチン療法)とは

樹状細胞療法のメカニズム

樹状細胞療法は、抗原提示細胞である樹状細胞を使って体内のT細胞を活性化し抗腫瘍免疫を誘導することを目指した治療で、1995年に初めて報告されました1)

樹状細胞が癌を攻撃するメカニズムの動画はこちら

樹状細胞(写真提供:東京慈恵会医科大学)

体外で分化誘導した樹状細胞に腫瘍抗原を取り込ませてこれを患者の体内に再び戻すと、樹状細胞は体内でナイーブT細胞に抗原提示を行います。ナイーブT細胞のうち、CD8陽性のものは活性化されて細胞傷害性T細胞へと分化し、抗原特異的な抗腫瘍活性をもたらします。CD4陽性のナイーブT細胞はヘルパーT細胞へと分化して、細胞傷害性T細胞を助けます。

樹状細胞療法の流れ

樹状細胞療法の抗腫瘍効果の一部は、メモリーT細胞を介して体に記憶されます。即効性は期待できないものの、作用が長期間持続し2)、再発予防の観点からも期待がもてます3)。また、抗原提示を受けた細胞傷害性T細胞は血流にのって体内をめぐるので、遠隔転移例でも病状の改善や病勢進行の抑制が報告されています4)

樹状細胞療法の特長のひとつは、副作用マネージメントが容易な点です。癌細胞に対する特異性が高く、正常細胞に毒性を示す可能性は低いと考えています。これまでに1万名を超える患者に治療を提供してきましたが、報告されている主な副作用は、発熱、全身倦怠感、注射局所の発赤・腫脹・疼痛で、いずれも数日中に軽快します。

樹状細胞療法の臨床成績

進行膵癌を対象とした代表的な臨床研究のデータをまとめて示します5-7)

膵癌に対する樹状細胞療法の有効性に関する臨床成績

文献5、6の患者はすべてステージ4、文献7では75%がステージ4の患者でした。被験者数は多くないものの、病勢コントロール率は50%を上回りました。また、樹状細胞療法のレスポンダーでは、約2年以上の長期生存が認められました。さらに、RECISTガイドラインで進行または不変と判定された患者でも長期生存例がみられる点も特徴的でした。

最近の知見として、腫瘍周囲に樹状細胞を注射すると、有効性が高まる可能性が自験例で示唆されています。消化器癌に対して内視鏡下での投与が行われているほか8)、頭頚部癌や乳癌、肝臓癌などではエコーガイド下での投与が実施されています。傍腫瘍投与が高い有効性を示す機序は、投与された樹状細胞が局所で腫瘍抗原をさらに貪食し、より多様な抗原を提示できるようになるためであると推測されています。

薬事承認取得に向けた取り組み

2017年3月からは、和歌山県立医科大学で膵癌を対象とした樹状細胞療法の医師主導治験が開始され、テラ社の連結子会社であるテラファーマ株式会社が治験製品提供者として被験製品TLP0-001を提供しています。当社は、エビデンスに基づく治療の提供に努めると共に、製造販売承認を取得するための取り組みを確実に積み重ねていきます。

治験の概要

1)Mukherji B, Chakraborty NG, Yamasaki S, et al. Induction of antigen-specific cytolytic T cells in situ in human melanoma by immunization with synthetic peptide-pulsed autologous antigen presenting cells. Proc Natl Acad Sci USA. 1995;9:8078-82.

2)Guidance for Industry: Clinical Considerations for Therapeutic Cancer Vaccines 2011

3)Kimura H, Matsui Y, Ishikawa A, et al. Randomized controlled phase III trial of adjuvant chemo-immunotherapy with activated killer T cells and dendritic cells in patients with resected primary lung cancer. Cancer Immunol Immunother 2015;64:51-9.

4)Kobayashi M, Shimodaira S, Nagai K, et al. Prognostic factors related to add-on dendritic cell vaccines on patients with inoperable pancreatic cancer receiving chemotherapy: a multicenter analysis. Cancer Immunol Immunother 2014;63:797-806.

5)Tsukinaga S, Kajihara M, Takakura K, et al. Prognostic significance of plasma interleukin-6/-8 in pancreatic cancer patients receiving chemoimmunotherapy. World J Gastroenterol 2015;21:11168-78.

6)Koido S, Homma S, Okamoto M, et al. Treatment with chemotherapy and dendritic cells pulsed with multiple Wilms' tumor 1 (WT1)-specific MHC class I/II-restricted epitopes for pancreatic cancer. Clin Cancer Res 2014;20:4228-39.

7)Kimura Y, Tsukada J, Tomoda T, et al. Clinical and immunologic evaluation of dendritic cell-based immunotherapy in combination with gemcitabine and/or S-1 in patients with advanced pancreatic carcinoma. Pancreas 2012;41:195-205.

8)Kobayashi M, Sakabe T, Chiba A, et al. Therapeutic effect of intratumoral injections of dendritic cells for locally recurrent gastric cancer: a case report. World J Surg Oncol 2014;12:390-5.

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