プレスリリース

2014.05.27 樹状細胞ワクチン「バクセル®」の臨床成績、「Journal of Ovarian Research」にて発表~再発卵巣がんに対する樹状細胞ワクチン「バクセル®」の臨床効果と予後因子の検討~

テラ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:矢﨑 雄一郎、以下「テラ」)が提供する、がんに対する免疫反応を強力に誘導することができる独自技術、樹状細胞ワクチン「バクセル®(Vaccell)」※1について、再発卵巣がんに対する「バクセル®」の臨床効果と予後因子の検討に関する論文が、卵巣がんにおける専門学術誌である「Journal of Ovarian Research」(Journal of Ovarian Research 2014, 7:48)に掲載されました※2。

卵巣は、骨盤内に存在しているため卵巣がんの症状が出るのが遅く、発見された時にはステージⅢ、Ⅳといった進行期と診断されることが多くあります。標準治療である抗がん剤治療による完全寛解※3率は上昇しているものの、全患者の55%が2年以内に、70%が5年以内に再発します。再発した場合、抗がん剤治療を行いますが、奏効率は平均して10~25%と低く、再発卵巣がんに対する新たな治療法が求められています。

今回の研究では、再発卵巣がんに対して大阪大学大学院杉山治夫教授が開発したWT1ペプチド※4等のがん抗原を用いた樹状細胞ワクチン「バクセル®」の安全性と臨床効果の検証、生存期間延長に関係する因子の特定等を目的とし、テラの契約医療機関である医療法人社団医創会 セレンクリニックグループ(東京・名古屋)※5における卵巣がん56症例を対象に、後向き※6に解析を行いました。56症例は、全例において初回抗がん剤治療が行われており、ワクチン投与時にプラチナ製剤※7を用いた抗がん剤治療を行っている症例は全体の48%、それ以外はプラチナ製剤ではない抗がん剤を用いたか、または抗がん剤治療を行っていない症例となっています。
解析の結果、杉山教授が開発したWT1ペプチドを用いた17症例では、71%において免疫応答が確認されました。また、全56症例において、再発卵巣がんと診断された日とワクチンの初回投与からの生存期間中央値(Median Survival Time、以下「MST」)は、それぞれ30.4ヶ月と14.5ヶ月でした。生存期間への関与因子をCox比例ハザードモデル※8により多変量解析※9したところ、ワクチン投与前にアルブミン値が4.0 g/dL以上であること、乳酸脱水素酵素(LDH)※10レベルが200 IU/L未満であることが、生存期間延長に関与する独立因子でした。ワクチン投与前のアルブミン値が4.0 g/dL以上もしくは4.0 g/dL未満の症例のMSTは、それぞれ19.9ヶ月と11.6ヶ月であり、対応する病勢制御率はそれぞれ36%と15%でした。これらの結果より、がん抗原に対して効果的に免疫を誘導でき、ワクチンを投与する際、良好な栄養状態を維持することが生存期間延長に重要である可能性があります。

テラは、今後も樹状細胞ワクチン「バクセル®」の更なるエビデンス(科学的根拠)の強化を図り、より良い細胞医療の開発・普及に取り組んでまいります。

【※1】樹状細胞ワクチン「バクセル®」
本来、血液中に数少ない樹状細胞(体内に侵入した異物を攻撃する役割を持つリンパ球に対して、攻撃指令を与える司令塔のような細胞)を体外で大量に培養し、患者のがん組織や人工的に作製したがんの目印である物質(がん抗原)の特徴を認識させて体内に戻すことで、樹状細胞からリンパ球にがんの特徴を伝達し、そのリンパ球にがん細胞のみを狙って攻撃させる新しいがん免疫療法です。

【※2】論文について
The feasibility and clinical effects of dendritic cell-based immunotherapy targeting synthesized peptides for recurrent ovarian cancer. : M. Kobayashi et al.

【※3】完全寛解
その治療に対して、がんが完全に消失することです。

【※4】WT1ペプチド
WT1とは大阪大学大学院杉山治夫教授等によって、ほぼ全てのがんに発現していることが報告されている世界的に有名ながんの目印です。WT1は2009年にアメリカの学会誌において、がん治療に用いる優先度が最も高いがんの目印として、1位に選出されました。テラは、効果が期待できると証明されたWT1の一部をさらに改変することにより、より強力ながん免疫を誘導することが可能である杉山治夫教授が開発したWT1ペプチドの独占実施権を保有しており、このWT1ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン「バクセル®」のエビデンス(科学的根拠)の強化を図っています。

【※5】医療法人社団医創会 セレンクリニックグループ
<医療法人社団医創会 セレンクリニック東京>
■住 所:〒108-0071 東京都港区白金台 2-10-2 白金台ビル 2F
■電 話:03-3449-6095
■院 長:長屋 昌樹
<医療法人社団医創会 セレンクリニック名古屋>
■住 所:〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄四丁目14-2 久屋パークビル2F
■電 話:052-238-3525
■院 長:小林 正学

【※6】後向きに解析
過去に溯って臨床結果を調べて解析する方法です。なお、臨床研究開始後から実施した臨床結果を評価する方法は前向き臨床研究と呼ばれます。

【※7】プラチナ製剤
白金を用いた抗がん剤で、DNAの二重らせん構造に結合してDNAの複製を阻害するほか、がん細胞を自滅(アポトーシス)へ導く働きを持ちます。

【※8】Cox比例ハザードモデル
生存期間を分析する統計学的手法の一つ。

【※9】多変量解析
複数の値からなるデータ(多変量データ)をもとにして、データ間の相互関連を分析する統計学的手法の総称。

【※10】乳酸脱水素酵素(LDH)
体内で糖分がエネルギーに転換されるときに働く酵素の一種。

樹状細胞ワクチン「バクセル®」の臨床成績、「Journal of Ovarian Research」にて発表

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