プレスリリース

2013.08.06 樹状細胞ワクチン療法の臨床成績、「Journal of Gastrointestinal Surgery」にて発表~切除不能な進行・再発胆道がんに対する樹状細胞ワクチン療法の有用性と予後因子の検討~

テラ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:矢﨑 雄一郎、以下「テラ」)が提供する樹状細胞ワクチン療法※1について、切除不能な進行・再発胆道がんに対する同療法の有用性と予後因子の検討に関する論文が、米国の「消化器外科学会(SSAT)」の公式学会誌である「Journal of Gastrointestinal Surgery(JGS)※2」電子版(Journal of Gastrointestinal Surgery. 20 July 2013.)に掲載されました※3。

胆道とは肝臓でつくられる胆汁を十二指腸まで導く導管であり、胆道がんに対しては、切除可能であれば手術、切除不能であれば化学療法や放射線療法が標準治療として位置づけられています。胆道がんを根治できる治療法は手術のみですが、診断が困難であるため、診断時にはすでに進行期に至っている患者が多く、全生存期間中央値は1年未満と言われる予後不良の疾患です。
胆道がんに対する化学療法では、塩酸ゲムシタビンとプラチナ製剤※4の併用療法が標準的なファーストライン治療(第1選択肢)であり、第Ⅲ相臨床試験において両抗がん剤を使用した時の生存期間中央値(MST)は、11.7か月という結果が報告されています※5。しかしながら、その次に使用できる有効な治療選択肢がないため、新たな治療法が求められてきました。

今回の研究は、切除不能な進行・再発胆道がんに対する、WT1ペプチド及びMUC1(それぞれがん抗原の一種)を用いた樹状細胞ワクチン療法の有用性を確認し、生存期間延長に関係する因子を特定することを目的として、テラの契約医療機関である医療法人社団医創会のセレンクリニック名古屋(愛知県名古屋市)、セレンクリニック東京(東京都港区)、セレンクリニック神戸(兵庫県神戸市)、セレンクリニック福岡(福岡県福岡市)における65例を後ろ向きに解析※6した結果が報告されています。
65症例中、ワクチン初回投与から3か月後のRECIST評価※7ではPR4例、SD15例で、病勢制御率※8は29%、診断以降のMSTが18.5か月という結果が得られました。また、生存期間への関与因子をCox比例ハザードモデル※9により多変量解析※10したところ、(1)化学療法の併用、(2)樹状細胞ワクチン接種前のアルブミン値(≧4.0g/dL)、(3)ワクチン接種前のC反応性たんぱく値※11(<0.5mg/dL)、(4)ワクチン接種後の発熱、が重要な独立因子であるという結果が得られました。これらは、樹状細胞ワクチン療法の治療開始前に化学療法に加えて、良好な栄養状態を維持し、治療を実施することが重要であることを示唆しています。

今回の研究は、WT1ペプチド及びMUC1を用いた樹状細胞ワクチン療法は安全に施行でき、切除不能な進行・再発胆道がんの患者の全生存期間の延長に影響を及ぼす可能性があることを報告した論文です。これまでに、新たな治療法として樹状細胞を用いた免疫療法に関する論文が発表されていますが、切除後の患者に対する補助療法として行われており、切除不能な進行・再発胆道がんに対する樹状細胞ワクチン療法に関する報告は、本論文が初めてとなります。

この結果を踏まえ、テラは本療法の更なるエビデンス(科学的根拠)の強化を図り、今後もより良い治療法の開発・普及に取り組んでまいります。

【※1】樹状細胞ワクチン療法
本来、血液中に数少ない樹状細胞(体内に侵入した異物を攻撃する役割を持つリンパ球に対して、攻撃指令を与える司令塔のような細胞)を体外で大量に培養し、患者のがん組織や人工的に作製したがんの目印である物質(がん抗原)の特徴を認識させて体内に戻すことで、樹状細胞からリンパ球にがんの特徴を伝達し、そのリンパ球にがん細胞のみを狙って攻撃させる新しいがん免疫療法です。

【※2】Journal of Gastrointestinal Surgery
米国の消化器外科学会(the Society for Surgery of the Alimentary Tract)の公式学術学会誌で、消化器外科における最新の成果が掲載されています。

【※3】論文について
Dendritic Cell-Based Immunotherapy Targeting Synthesized Peptides for Advanced Biliary Tract Cancer. : M. Kobayashi et al.

【※4】塩酸ゲムシタビンとプラチナ製剤
胆道がんに対する治療薬として保険適用されている抗がん剤です。作用機序としてはDNA合成を直接的及び間接的に阻害することで、細胞死を誘発します。

【※5】論文について
Valle J, Wasan H, Palmer DH, Cunningham D, Anthoney A,Bridgewater J; ABC-02 Trial Investigators. Cisplatin plus gemcitabine versus gemcitabine for biliary tract cancer. N Engl J Med. 2010;362:1273–81.

【※6】後ろ向きに解析
過去に溯って臨床結果を調べて解析する方法です。なお、臨床研究開始後から実施した臨床結果を評価する方法は前向き臨床研究と呼ばれます。

【※7】RECIST評価
抗がん剤の腫瘍縮小効果を判定するための国際基準で、標的となる病変の最長径の長さを測定し、その和を算出して、腫瘍縮小効果の判定に用います。
CR(complete response):腫瘍の100%縮小(消失)が4週間以上持続
PR(partial response):腫瘍の30%以上の縮小が4週間以上持続
SD(stable disease):腫瘍の30%未満の縮小または20%未満の増大かつ新病変の出現のない状態が4週間以上持続
PD(progressive disease):腫瘍の20%以上増大または新病変の出現

【※8】病勢制御率
全体の症例数中に占めるCR、PR、SDの症例の割合。

【※9】Cox比例ハザードモデル
生存期間を分析する統計学的手法の一つ。

【※10】多変量解析
複数の値からなるデータ(多変量データ)をもとにして、データ間の相互関連を分析する統計学的手法の総称。

【※11】C反応性たんぱく
炎症や組織の細胞の破壊が起こると血清中に増加するたんぱく質のことです。炎症の早期診断の指標として用いられます。

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