プレスリリース

2013.06.26 九州大学および要町病院と共同でKM-CART施術後の腹水由来がん細胞を高純度で回収することに成功~樹状細胞ワクチン療法への応用を目指し共同研究を推進~

テラ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:矢﨑 雄一郎、以下「テラ」)は、国立大学法人九州大学(以下「九州大学」)および医療法人社団愛語会 要町病院(以下「要町病院」)との共同研究において、改良型腹水濾過濃縮再静注法(Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy、以下「KM-CART」)施術後の腹水由来がん細胞を高純度で回収することに成功しましたので、お知らせいたします。本共同研究は、腹水由来がん細胞を樹状細胞ワクチン療法のがん抗原として応用することを目的とし、要町病院腹水治療センター 松﨑圭祐センター長の指導のもと検討してまいりました。

腹水とは、体内の排水機能の低下等が原因で腹腔内に水がたまる症状のことで、進行期の消化器がんや卵巣がんに高率に合併します。多量の腹水は、強度の腹部膨満感、呼吸苦や食欲不振を引き起こし患者のQOL(Quality of Life)※1を著しく悪化させます。さらに重要な血清タンパクであるアルブミンや体を守るための免疫物質であるグロブリン等が含まれるため、腹水を患者から抜くと状態が急速に悪化します。その課題を克服したのがKM-CARTと呼ばれる、大量の腹水を採取し必要な成分(アルブミンやグロブリン)だけを濃縮し体内に再静注する治療法です。本治療法を用いることで、腹部膨満感や呼吸苦の軽減、食欲不振の回復および血中アルブミン、グロブリン濃度の上昇等によりQOLが改善するとともに、腹水も再貯留しにくくなることが報告されています。有用な成分を回収する際の濾過膜洗浄液には白血球等の他に多量のがん細胞が含まれていますが、これまでは破棄されていました。
本共同研究では、破棄されているKM-CART施術後の濾過膜洗浄液よりがん細胞を回収して、樹状細胞ワクチン療法※2にがん抗原として利用することが可能かどうか、検討してまいりました。その結果、KM-CART施術後の濾過膜洗浄液から、白血球等の細胞を除き、がん細胞を90%以上の高純度で回収するプロセスの標準化を行うことに九州大学と共同で成功いたしました。回収したがん細胞を樹状細胞ワクチン療法のがん抗原として利用することで治療効果がさらに高まることが期待されます。今後もこのような治療応用を普及させることを目的として、臨床研究を実施し、腹水患者のがん治療に貢献してまいります。


【※1】QOL(Quality of Life)
生活の質のことで、人々の生活を物質的な面から数量的にのみとらえるのではなく、精神的な豊かさや満足度も含めて、質的にとらえる考え方のことです。

【※2】樹状細胞ワクチン療法
本来、血液中に数少ない樹状細胞(体内に侵入した異物を攻撃する役割を持つリンパ球に対して、攻撃指令を与える司令塔のような細胞)を体外で大量に培養し、患者のがん組織や人工的に作製したがんの目印である物質(がん抗原)の特徴を認識させて体内に戻すことで、樹状細胞からリンパ球にがんの特徴を伝達し、そのリンパ球にがん細胞のみを狙って攻撃させる新しいがん免疫療法です。

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