特別対談

落語家・医学博士 立川らく朝さん

2015.10.19

落語で笑って免疫力アップ!
落語家・医学博士の立川らく朝さんと語る
笑いと医療の最前線

落語家・医学博士 立川らく朝さんとの対談

はじめに

10月1日付で真打に昇進、落語家としてますます躍進する立川らく朝さん。
元々は医師であり、落語家となった今も「ヘルシートーク」や「健康落語」で、笑いとともに健康情報の提供を続けています。
今回はらく朝さんに、笑いと健康の関係や笑いの医療活用、そして落語の効用について楽しく語っていただきました。

立川らく朝さん プロフィール

1954年生まれ、長野県出身。杏林大学医学部卒業後、慶應大学医学部内科学教室へ入局。主に脂質異常症の臨床・研究に従事し、慶応健康相談センター(人間ドック)医長を勤める。2000年に46才で立川志らく門下に入門、落語家として活動を開始。2015年10月1日付で真打に昇進。健康情報の提供と笑いをミックスした「ヘルシートーク」、健康をテーマにしたオリジナルの「健康落語」を中心に、全国の講演会・独演会で精力的に活動している。
健康落語の立川らく朝 http://rakuchou.jp/

「笑ってもらいながら健康情報を提供する」ということが私のコンセプト。
でも最近は、そのコンセプトが変わりつつあります。

矢崎:らく朝師匠は10月1日付で真打に昇進されたそうで、このたびは大変おめでとうございます。

らく朝:ありがとうございます。

矢崎:らく朝師匠は元々は内科医で、今は落語家としてもご活躍されているわけですが、進路としては大転換ですよね。想定外も想定外といいますか。

らく朝:ハハハ(笑)それは私の師匠、立川志らくのほうこそ想定外だったでしょうね。10歳も年が上で、女房子どもも仕事もあるおっさんが弟子になりたいっていうんですから。とにかく落語をやりたくてやりたくて、私のほうから頼み込んで客分扱いの弟子にしてもらったんですよ。

矢崎:客分扱いの弟子というのはどういうものなんでしょう。他にもそういう方はいらっしゃるんですか?

らく朝:客分扱いというのは、「名前はあげますよ、落語も教えますよ、でもプロじゃないから高座には上げられません」ということで、社会人の弟子のような扱いです。他に客分扱いの弟子という方はいないので、特別に許してもらった形ですね。それが44歳の時でした。それから週に1回志らく師匠のもとに通って、マンツーマンで落語を教えてもらいました。テープレコーダーに師匠が噺を録音してくれて、次の週までにそれを完璧にコピーするんです。芸事っていうのは最初は模倣です。それで、師匠の前で一席やって、師匠からOKが出たらまた次の噺を教えてもらうんですね。これを、1年経たないうちに50本くらいやりました。立川流は50本以上で二ツ目(前座の一つ上の格)になる資格がいただけるので、そこで初めてプロでやらないかというお話をいただきました。

矢崎:医師のお仕事を続けながらですよね。それはすごい。

らく朝:でもプロになるということはですね、収入がゼロになるということなんですよ。

矢崎:それは、兼業はできないということですか?

らく朝:そうなんです。まあ当然の話で、正式に入門するというのは落語の修業をしに行くということなんですよ。兼業ってことは片手間で修行するってことでしょ。こんな失礼な話はない。それは百も承知だったんですけれども、収入がなくなるのは困ったなぁと思ってね。3ヶ月くらい返事ができなかったんですよ。そのうち師匠がしびれを切らしまして、楽屋の立ち話のついでに、「で、(プロになる件は)どうすんの?」って訊かれてね。反射的に「お願いします」って答えちゃった。

矢崎:そうなんですか。

らく朝:でも待てよと。これで収入ゼロだ、どうしようと思って、師匠に「すみません、午前中だけ医者やらせてください」ってお願いしたんですよ。ダメ元だったんですけど、師匠は「うん、いいよ」って(笑)

矢崎:よかったですね、それは(笑)それがおいくつの時ですか?

らく朝:46歳ですね。普通、落語家になりたいと思ったら、どんなに遅くても20代の後半までに入門する人がほとんどですから、当時では最年長の入門記録になりました。

矢崎:さらに、医師と落語家の兼業というのはかなり珍しいですよね。医師ということで、他の落語家さんに健康のことで相談されたりということもあるのでしょうか。

らく朝:相談というか、立川流の家元の、立川談志からそういう話をされたことはありました。談志という人はね、私たちにとって大師匠にあたりまして、まあ雲の上の人なんです。私たち孫弟子が気軽に会話できるような相手ではなくて、何か言いつけられて「はい」って答えるか、何かしくじって「ごめんなさい」って謝るか、どっちかなんですよ。それがね、ある時、打ち上げでちょこちょこっと私のところへ来て、「俺早く死にてぇんだよ、どうしたら死ねるんだ」って訊くんです。まあ本心は逆なんですよ。談志には糖尿病があったので、私が医者だってことを知ってて、本当は長生きしたくてそんなことを訊くわけです。あの人らしいですよね。でも「こうすると早く楽に死ねますよ」って答えるわけにもいかないから、困っちゃってね。

矢崎:それは確かに(笑)

らく朝:だからね、「糖尿病の専門医に聞いた話なんですけど、糖尿病の人って節制するでしょ。そうすると節制しない普通の人より、節制してる糖尿病の人のほうがよっぽど長生きするんですって」という話をしました。そしたらすごくご機嫌になってくれまして、まあうまいこと切り抜けたなと(笑)

矢崎:なるほど(笑)ところで、らく朝師匠は医師の経歴を生かして、医療ネタの落語、健康落語というものをやっていらっしゃいますよね。

らく朝:はい、医療・健康関連では「ヘルシートーク」と「健康落語」というものをメインでやっています。ヘルシートークは漫談で健康セミナーをやろうというもので、笑わせながら健康情報も提供するよ、ということです。健康落語は病気をテーマにした落語ですね。「笑ってもらいながら健康情報を提供する」ということが私の基本的なコンセプトなのですが、最近はそのコンセプトが変わりつつあります。

矢崎:そうなんですか。それはどのように?

らく朝:病気って、それがあることでさまざまなドラマが患者さんのまわりに生まれるんですよね。深刻なものじゃなくて、小さなドラマかもしれませんが、なにかしらの悲喜こもごもが患者さんの周辺にある。それを落語として表現できないかなと。病を持つ人の、「人間」を描くということですね。

矢崎:なるほど。それは興味深いです。

らく朝:口で言うと偉そうに聞こえますが、まだできていないんですよ(笑)でも、今はそういうことを目指しています。

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