プレスリリース

2014.07.30 樹状細胞ワクチン「バクセル®」の臨床研究結果について、「Clinical Cancer Research」にて発表~進行膵がんに対するWT1クラスⅠ及びクラスⅡペプチドを用いた「バクセル」の安全性及び有効性の評価~

テラ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:矢﨑 雄一郎、以下「テラ」)は、2010年8月に学校法人慈恵大学 東京慈恵会医科大学附属柏病院消化器・肝臓内科と共同研究契約を締結し、進行膵がん及び進行胆道がんを対象として、抗がん剤(塩酸ゲムシタビン)を併用した、新規ペプチドであるWT1クラスⅡペプチド並びにWT1クラスⅠペプチドを用いた樹状細胞ワクチン「バクセル®」※1の安全性及び有効性を評価するための第Ⅰ相臨床研究を進めてまいりました。この度、本臨床研究について、米国がん学会(American Association for Cancer Research:AACR)の学会誌である「Clinical Cancer Research」(Impact factor 2012:7.837)電子版(Clinical Cancer Research. 23 July 2014)に掲載されました※2。 テラの樹状細胞ワクチン「バクセル®」は、樹状細胞ががん抗原(がんの特徴)を認識してリンパ球にその特徴を伝えることで、がんの特徴を認識したリンパ球ががん細胞を攻撃する治療法です。テラは、ほぼ全てのがんに発現していることが報告されている大阪大学大学院杉山治夫教授が開発したWT1ペプチド※3の独占実施権を保有しており、契約医療機関においてがん抗原として用いています。WT1ペプチドはクラスⅠとクラスⅡに分けられ、クラスⅠはキラーT細胞(細胞傷害活性T細胞)※4、クラスⅡはヘルパーT細胞※5を活性化します。WT1クラスⅡペプチドは、キラーT細胞のみを活性化するこれまでのがん抗原とは異なり、ヘルパーT細胞を活性化することで、キラーT細胞をより効果的に活性化させることが分かってきており、注目されているがん抗原です。 本研究は、進行膵がん、胆道がんにおいて、抗がん剤を併用したWT1クラスⅠ、クラスⅡペプチドを用いた樹状細胞ワクチン「バクセル®」の安全性、臨床成績並びにWT1ペプチドに対する特異的な免疫反応を調査することを目的としています。全11症例のうち、WT1クラスⅠペプチドのみを用いた症例(WT1-Ⅰ)が3例、WT1クラスⅡペプチドのみを用いた症例(WT1-Ⅱ)が1例、WT1クラスⅠ及びクラスⅡペプチドを用いた症例(WT1-Ⅰ/Ⅱ)が7例となります。 解析の結果、抗がん剤を併用したWT1-Ⅰ/Ⅱを用いた膵がんの症例では7例中4例に、WT1特異的な遅延型アレルギー反応(Delayed Type Hypersensitivity 、以下「DTH」)※6が観察され、WT1-Ⅰ及びWT1-Ⅱの3例では観察されませんでした。WT1特異的なDTH反応を示した膵がん4例の生存期間中央値 (Median Survival Time、以下「MST」)と無増悪生存期間(Progression-Free Survival、以下「PFS」)※7は、DTH反応を示さなかった症例より統計学的に有意に延長しており、特に強くDTH反応を示した3例は1年以上(MST:717日、PFS:440日)の生存が認められました。さらに、1年以上生存が認められた3例では、生存期間1年未満の症例と比較したところメモリーT細胞※8としての機能をもつ細胞傷害活性T細胞が高頻度で観察されました。これらの結果より、抗がん剤を併用したWT1-Ⅰ/Ⅱを用いた樹状細胞ワクチン「バクセル®」は、がん細胞に対してWT1特異的免疫反応を誘導したことが確認されました。 今回の研究は、WT1クラスⅠ及びクラスⅡペプチドを用いた樹状細胞ワクチン「バクセル®」が、進行膵がんの患者の病勢制御に寄与する可能性があることを報告しています。テラは今後、本がん抗原を用いた樹状細胞ワクチン「バクセル®」の薬事承認取得を目指してまいります。 テラは、今後も樹状細胞ワクチン「バクセル®」の更なるエビデンス(科学的根拠)の強化を図り、より良い細胞医療の開発・普及に取り組んでまいります。 【※1】樹状細胞ワクチン「バクセル®」 本来、血液中に数少ない樹状細胞(体内に侵入した異物を攻撃する役割を持つリンパ球に対して、攻撃指令を与える司令塔のような細胞)を体外で大量に培養し、患者のがん組織や人工的に作製したがんの目印である物質(がん抗原)の特徴を認識させて体内に戻すことで、樹状細胞からリンパ球にがんの特徴を伝達し、そのリンパ球にがん細胞のみを狙って攻撃させる新しいがん免疫療法です。現在、樹状細胞ワクチン「バクセル®」は、がん治療用の再生医療等製品として薬事承認取得を目指しています。 【※2】論文について Treatment with Chemotherapy and Dendritic Cell Pulsed with Multiple Wilms’ Tumor 1 (WT1)-Specific MHC Class Ⅰ/Ⅱ-Restricted Epitopes for Pancreatic Cancer. Published Online First July 23, 2014; DOI: 10.1158/1078-0432.CCR-14-314 URL:http://clincancerres.aacrjournals.org/content/early/2014/07/23/1078-0432.CCR-14-0314.abstract 【※3】WT1ペプチド WT1とは大阪大学大学院杉山治夫教授等によって、ほぼ全てのがんに発現していることが報告されている世界的に有名ながんの目印です。WT1は2009年にアメリカの学会誌において、がん治療に用いる優先度が最も高いがんの目印として、1位に選出されました。テラは、効果が期待できると証明されたWT1の一部をさらに改変することにより、より強力ながん免疫を誘導することが可能である杉山治夫教授が開発したWT1ペプチドの独占実施権を保有しており、このWT1ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン「バクセル®」のエビデンス(科学的根拠)の強化を図っています。 【※4】キラーT細胞(細胞傷害性T細胞) キラーT細胞は、樹状細胞等の抗原提示細胞から提示された異物(ウイルス感染細胞やがん細胞)を認識し、活性化することで異物を攻撃することのできる細胞です。抗原提示細胞により提示される抗原ペプチドを認識するとともに、Th1細胞等からの刺激により活性化され、抗原を提示している細胞へ特異的な攻撃を行います。 【※5】ヘルパーT細胞 ヘルパーT細胞は、主にTh1細胞及びTh2細胞に分類されます。インターフェロンγやインターロイキン等の様々なサイトカインを産生し、他の免疫細胞の活性化や機能補助を行います。Th1細胞は抗原提示細胞やキラーT細胞に作用して、細胞性免疫を活性化させます。Th2細胞は抗原提示細胞やB細胞に作用して、抗体産生を促進します。また、最近ではヘルパーT細胞にも細胞傷害活性があることが報告されています。 【※6】遅延型アレルギー反応(Delayed Type Hypersensitivity) 体内に異物が侵入した際に、リンパ球等が異物を排除しようとする免疫が働きますが、再び同じ異物が侵入すると、その異物の特徴を覚えたリンパ球等が直ちに反応して異物を排除します。このような、異物の特徴を覚えたリンパ球が作られたかどうかを確かめる方法として遅延型アレルギー反応(Delayed Type Hypersensitivity:DTH)が利用されています。がん免疫療法においてDTHが生じることは、メモリーT細胞が誘導されたことを示す指標となります。 【※7】無増悪生存期間(Progression-Free Survival) 治療中や治療後に、がんが悪化することなく生存する期間のこと。 【※8】メモリーT細胞 活性化されたキラーT細胞(細胞障害性T細胞)の一部が、がん細胞等の異物の特徴を記憶したまま体内に残った細胞であり、次に同じ異物が発生した際に再び攻撃することができます。 テラ株式会社の樹状細胞ワクチン「バクセル(R)」の臨床研究結果について、「Clinical Cancer Research」にて発表

テラのFacebookを見る

テラのFacebookを見る

ページトップへ